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設立の経緯

社会学研究科の中期計画の一環として、私たちは、市民社会をテーマとする理論研究、政策研究、社会調査、実践的研究に取り組んできました(先端課題研究5、2004-6年度)。その成果の一部は『一橋社会科学』創刊号に発表され、特に理論的な整理において今後の研究の基礎を確立しました。

「先端課題研究」プロジェクト推進の過程で学内プロジェクト研究経費の交付を受け、「市民社会指標」を作成する研究プロジェクトも始まりました。その一環として、2006年度には全国4地域を対象としたアンケート調査を行いました。研究の中間的成果は南開大学で発表し、清華大学との研究交流も動き出しました。調査に参加した大学院生たちは、2007年2月に「魅力ある大学院教育イニシアティブ」の一環として「院生が企画する国際ワークショップ」を実施しました。

並行して、日本学術振興会科学研究費基盤研究(B)「市民エージェントの構想する新しい都市のかたち―グローバル化と新自由主義を超えて―」(研究代表者:町村敬志、2005-8年度)も進んでいます。このプロジェクトは、社会運動論をベースにしながら、市民活動団体の調査を行っています。

実践的な研究の土台となるのは、地域社会との協働です。2001年に「くにたちプロジェクト2001」が発足して以来、私たちは国立市役所、富士見台商店街、市民団体などと連携しながら地域活性化に取り組んできました。学内では全学共通教育科目として2002年度から「まちづくり」授業を開講しています。この取り組みは「人間環境キーステーション構想とまちづくり授業」として2004年度に文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム」に選定されました(2004-7年度、事業推進責任者:林大樹)。

以上の成果を基に、市民社会をテーマとする研究・教育の更なる発展をはかるために、本センターを設立しました。

本センターの学術的な特色と意義

第1に、市民社会研究に実証的な基礎を与えることを目指す点に本センターの特色があります。市民社会指標を作成するプロジェクトは国内調査を終え、2007年度からは国際比較調査を準備しています。特に清華大学とは密接な協力関係を構築しつつあり、国際的な拠点形成を目指しています。

第2の特色は、これまで研究の方法論も対象も部分的であった市民社会研究に関して、実証的・実践的な面と歴史的・構造的な面を有機的に結びつけていこうとする点です。

市民社会研究は、すでにギリシア、ローマから西欧近代の市民社会に至る歴史的蓄積があるものです。先行する研究を踏まえ、私たちは21世紀を構造的にとらえるための基礎概念として「個的社会論」を提出しました。それを実証的に明らかにしようとするのが、「市民社会指標」の開発です。市民社会化モデルの理論を構築することによって、市民社会の発展の総括、発展方向の予測、評価が可能となると考えています。

第3に、市民活動やNPOなど現実の動きに対し参与観察的な立場から情報を収集し、分析することを試みます。また、市民に向けた情報発信を積極的に行い、地域社会の発展に貢献することをめざします。

以上を通じ、私たちは、当該分野で世界的に独創的な理論や情報を提供できる存在となることをめざしています。

本センターは「市民社会」について、調査研究活動、教育活動ともに、大学と地域社会との連携・協働を進めるために一橋大学大学院社会学研究科内に設立されました。

「まちづくり」授業は、一橋大学の全学共通教育科目です。学生は国立を「まちづくり」実践の現場として、市民や自治体との協働のもとに様々なプロジェクトを推進しています。

市民社会研究教育センター
〒186-8601
東京都国立市中2-1
国立大学法人一橋大学
大学院社会学研究科
林大樹研究室
TEL 042-580-8655
FAX 042-580-8640
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